たんぽぽ…ダンデライオン
と聞くと私は松任谷由実さんの曲を思い浮かべます。あとはポンデライオン(C)MISDOでしょうか(笑)。
もともと語源はフランス語で「ライオンの歯」の意味だそうですね。
さてさて、二千年の昔から漢方ではタンポポ(蒲公英~ほこうえい)は使用されています。その使われ方は一言で言えば「熱を冷ます」こと。
ここ15年ほどのブームで不妊症にたんぽぽ茶・タンポポコーヒーが飲まれているようですが、安直に過ぎるような気がして危うさも感じます。
漢方はもともとオーダーメイド医療ですので、同じ症状であっても十人十色、薬の種類も違ってきます。
「妊娠を希望しています」⇒「たんぽぽ茶を飲んでください」では漢方の考え方からは離れています。きちんと勉強されている専門家であれば、こういうことはあまり無いかと思われます。ただ、子宮内膜症や筋腫の方には使用される可能性もあります。
例えば、タンポポの薬効を見てみると、
健胃、催乳 … 熱を散じ、毒を解し、癰疸諸瘡(腫れ物や傷)を治す。
矢数道明 著「臨床応用 漢方処方解説」より
清熱解毒・通淋 … 乳腺炎の要薬あるいは通淋(出にくい小便を出す)の妙薬といわれている。
鈴木洋 著・米田該典 監修「漢方のくすりの事典」より
など、炎症を冷まし、詰まっているものを流し・発散させるような作用があると言われていることが分かります。
性味(味や性質。漢方では重要)については
・苦甘、寒「常用中草薬手帳」
・甘、平微寒「本草述」
・微苦、寒 … 李杲
・甘、平 … 「唐本草」
など平~寒となっておりますが、平(温めも、冷やしもしない)の記述の文献であっても使われ方は清熱解毒に類するもので、用法から考えると寒に偏ると考えられます。
言うまでも無く、現代女性(特に日本人)は薄着の影響や急激なダイエット、食事の偏りや睡眠不足、ストレスなどで冷え性の方が多くいらっしゃいます。実際に体温も標準の36.5度~37度よりも低く、ひどい場合は35度台の体温の方も相当数見受けられます。
そんな方がタンポポ茶やタンポポコーヒーを飲んだら?よい影響があるとは考えにくいですよね。
ただ、冷えが無い方、高温期がしっかり続くような方であれば、ノンカフェインのお茶・コーヒーとして楽しまれることは差し支えないと思われます。黒豆を配合していたり、焙煎していれば性質はすこし柔らかになっていると思われますので。
いずれにしても、体質をしっかり確認してからのほうが良い結果が得られると思われます。